PROFILE
雪に埋もれた工房で、触ると痛いような冷水に腕まで浸し、白い息を吐きながら、黙々と原料準備や紙漉き作業をする職人さんの姿。初めて越前の工房を訪ねた時、1300年受け継がれてきた尊い営みに衝撃を受けました。
「白い紙は神に通じる」という精神性は、古来、日本人の美学や、日本独自の慣習に深く影響し、和紙は、日常の生活だけではなく、神事や祭事にも欠かせないものでした。しかし現代では 機械漉きや和紙風の新素材なども開発され、手漉き和紙の文化は衰退の一途をたどっています。
素晴らしい職人さんの技術や、日本のものづくりの背景にある精神性を未来へ繋ぐため
には、新たな着眼点を持ち、日々の挑戦によって進化させていくことが重要です。私達は、越前和紙の職人さんと共に「伝統を未来へ繋ぐ」方向性と、独自の新たな技術で革新を興して「革新を未来の伝統に育てる」という二つの方向性で活動をしています。
また、和紙に、燃えない、汚れない、破れない、退色しない、精度が良いなどの機能や用途を与えて、伝統的な和紙の域を超えた表現に挑戦し、和洋を問わず、アート、デザイン、工芸という領域を超えて、和紙が持つ無限の可能性を広げていきたいと考えています。
固定概念から抜け出した技術や表現方法を模索して、不可能に挑んでこそ、伝統は未来へと繋がっていきます。
私達は、時代を超えて、人の心に響き、時代の要望を満たす和紙作りに挑戦しています。
堀木エリ子
- 1962.1
- 京都府に生まれる
- 1980.4
- 住友銀行入社
- 1984.10
- (株)紙屋院へ転職(事務/経理担当)
- 1986.9
- (株)紙屋院 閉鎖
- 1987.7
- SHIMUS設立
- 1988.7
- 小田章ビル SHIMUSショールーム開設
- 2000.4
- (株)堀木エリ子&アソシエイツ設立
- 太秦工房および太秦ショールーム開設
- 2014.8.
- 吉忠ビル 御池ショールーム開設
職歴
- 2003.4 〜 2004.3
- 京都光華女子大学 客員教授
- 2006.6 〜 2008.3
- 京都精華大学 客員教授
- 2009.4 〜 2018.3
- 大阪工業大学 客員教授
- 2010.3 〜
- 公益財団法人国立京都国際会館 理事
- 2013.4 〜
- 京都美術工芸大学 客員教授
- 2013.11〜 2020.3
- 京都府 参与
- 2015.4 〜 2017.3
- 嵯峨美術大学 客員教授
- 2022.11~
- (株)トーセ 社外取締役
- 2023.11~
- 芝浦工業大学 評議員
社会における活動等 / 審査委員
- 1999〜
- 「美濃和紙あかりアート展」審査委員
- 2002~2005
- 「グッドデザイン賞」審査員
- 2007〜2019
- 「京都文化ベンチャーコンペティション」審査委員
- 2008〜2022
- 京都・花灯路「創作行灯デザインコンペ」審査委員
- 2012〜
- 「京都女性起業家賞」審査委員
- 2013〜2015
- 「京都建築賞」審査委員
- 2014〜2017
- 「京都景観賞」審査委員
- 2015
- 「テラダアートアワード」審査委員
- 2021~
- 「日本伝統工芸再生コンテスト」審査委員
社会における活動等 / 委員
- 2006〜
- 「文化力創造懇話会」委員
(京都府府民労働部文化芸術室) - 2009〜
- 「古典の日推進委員会」アドバイザー
(京都文化交流コンベンションビューロー) - 2017〜2018
- 「これからの文化行政検討会議」委員
(京都府文化スポーツ部文化芸術振興課)
教科書・教材
- 「Genius English CourseⅠ Revised」 P.136〜P.149 (2008年/大修館)
- 「グローバル ビュー地球村 日本語能力試験1・2・3級教材」P.54,55(2008年/地球村出版)
- 「美術2・3上」 P.23(2012年/日本文教出版)
- 「美術2・3下」 P.29(2012年/光村図書)
- 「子どもに伝えたい和の技術②和紙」 P.29 (2015年/文渓堂)
- 「美術資料 京の美」 P.5(2018年/秀学社)